犬の行動の多くは、後天的な学習で作られます

犬の行動の9割は、後天的な学習によって生み出されるものだと考えています。多くの場合、子犬はブリーダー、ペットショップの管理部門、ペットショップでの展示、そして飼い主さまという順序で家庭にやってきます。その過程のどこか、あるいは複数の場面で、「この行動をするとこういうメリットがあった」と感じ、その行動を繰り返すようになります。

犬は、それまでに何かしらのタイミングや偶然から経験したことを書き留めるように学んでいき、その経験から次の行動を引き出します。同じようなことの経験回数が多ければ多いほど経験値は高くなり、その行動の頻度も高くなっていきます。

子犬の脳を真っ白な紙と考えると、ご飯の前に食べたくて勢いあまって吠えた、その時にご飯がもらえた。すると「吠えるとご飯がもらえる」と紙に書かれていきます。そうか、お腹が減ったら吠えればいいんだ、と理解した結果、吠える行動がやめられなくなるのです。

飼い主さまが無意識に強めてしまうことがあります

無意識ということでいうと、「飛びつき」や「帰宅時の吠え」が多いと思います。異種の生物である犬が近づいてきて、スキンシップを取りにきてくれると、つい嬉しくて触ってしまったり、声をかけてしまうと思います。

人は承認欲求が満たされると、言葉にできない喜びや幸福感を得ることができます。ある意味、脳内麻薬のようになってしまうこともあります。しかしここは一歩引いて自分を観察し、飛びつかず、吠えず、落ち着くまで待ってからスキンシップを取るようにしていくことが大切です。

叱るだけでは変わりにくい理由

叱ることで行動が改善するためには、本来は3つのことが伝わる必要があります。ひとつ目は「コラ!」などの声やその時の雰囲気。ふたつ目は、なぜだめなのかという原因。みっつ目は、どうすれば良いのかという正しい行動です。

人間であれば、たとえば「コラ!なんてところでキャッチボールしてるの!」「ボールが当たったら窓が割れるでしょ!」「外でやってきなさい!」と言われると、そっか、そうしようとなります。言葉で2番目と3番目まで理解できるからです。

犬の場合は違います。「コラ!なんでそこでおしっこするの!」「そこでおしっこすると掃除が大変じゃない!」「トイレがあるからそこでしなさい!」と言っても、原因や正しい行動は言語では伝わりません。だからこそ、排泄の時間を飼い主さまが把握し、失敗しないようにトイレへ連れていき、排泄してくれたら褒める。そこまでやってあげて、その行動を何度も経験させることで理解していくようになります。

繰り返させないために、まず見直すこと

繰り返さないためには、まずは環境を見直すことです。失敗しやすい環境になっていないか、問題を起こしやすい環境で生活していないかを確認してください。その次に大切なのは、飼い主さまが学ぶことです。なぜその行動になっているのかの構造をほどき、どこでミスが起きているのかを見つけながら改善していくことが必要です。

この時に、きちんと勉強し、経験を持ったトレーナーにアドバイスをもらうと、よりわかりやすく、より良い改善につながると思います。

最後に伝えたいこと

叱ってうまくいくのであれば、世の中の犬はもっと静かで、噛まず、飼い主さまに従順なはずです。しかし、そうならないのが現実です。今の状況を変えたいのであれば、今までやっていた叱るしつけだけでは改善しないことが多いのです。

違う方法を探し、行動改善ということをしっかり考え、飼い主さまも共に学んであげてください。それはお互いにとって宝ものの経験になります。そして、叱るということはとてもパワーのいることで、人も犬も大きなストレスがかかります。お互いに楽しくできる方法があるなら、そちらを選びましょう。

また、犬は服従するための動物ではありません。力や威圧で犬をコントロールしようとする考え方ではなく、犬を理解し、その知識の中から正しく教えていくことが大切です。トレーナーを探している方も、その視点で見ていただきたいと思います。

問題行動を改善するために大切なこと

  • 問題行動の多くは後天的な学習で強くなっていくことを知る
  • 無意識に強めていないか、飼い主さま自身の反応を見直す
  • 叱るよりも、正しい行動を経験させる流れを作る
  • 失敗しやすい環境を整え、繰り返させない工夫をする
  • 必要に応じて、経験のあるトレーナーの助言を受ける

監修・運営

SKYWAN! DOG SCHOOL 代表 井原亮。犬の行動は経験から作られていくものだからこそ、叱ることよりも、なぜそうなっているのかを見立て、正しい経験を積み重ねていくことを大切にしています。

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