要求吠えは、場面の切り替わりを先読みした時に起こりやすくなります
要求吠えは、犬にとって場面が切り替わることが予想できる時に起こりやすくなります。主に飼い主さまの動きに合わせて起きることが大半です。
ごはん前に要求吠えをする犬は、飼い主さまがごはんの用意をする前の動き、たとえば台所に向かう、食器を持つ、冷蔵庫を開けるといったわかりやすい動きを先読みします。朝ごはんなら人の食事を片づけ始めると次は自分のごはん、夕方ならソファーから立ち上がったらごはん、というように、日々同じ動きをする人間の流れをよく見ています。
散歩でも同じです。着替え始める、お水を用意する、うんち袋を確認する、そうした準備の流れを見て吠え始めます。そして実際にその後ごはんや散歩という報酬が出るので、どんどん強化されていきます。
飼い主さまは、その後に報酬を出してしまいやすいです
要求吠えを強めてしまいやすいのは、吠えた後に結局ごはんや散歩が始まることです。さらに「うるさい!」と怒ったり、マズルを押さえたり、行動を制限したりしてしまうこともあります。
けれど犬は言葉の意味で反省しているわけではありません。むしろ「飼い主さまも興奮しているな」「この流れの後に結局いいことが起きるな」と受け取ってしまうことがあります。マズルを掴まれることすら、その後に報酬が出る約束手形のようになってしまうことがあります。
犬は「吠えれば今の状況を変えられる」と学んでいます
要求吠えをしている時、犬は「吠えることで、現時点での状況を変えることができる最強の武器だ」と学んでしまっています。吠えればごはんが早まる、吠えれば散歩が始まる、吠えれば飼い主さまが反応してくれる。そう感じるほど、行動は強くなります。
最初に見直したいのは、要求吠えが起きにくい仕組みづくりです
要求吠えが起きる仕組みは、生活パターンがパターン化していることにあります。だからまずは、そのパターンを崩すことが必要です。
たとえば、ごはんはあらかじめ何食分かを用意しておき、予期せぬタイミングで出す。散歩であれば、準備をしたかと思っても吠えているうちは行かず、諦めるまで散歩バッグを持ち続けてみる。あるいは準備そのものを省いて、いきなり出る。そうやって犬の「次はこれだ」という読みを外していきます。
応じなければ減っていきますが、その前に一度増えることがあります
行動学的には、吠えた後に応じなければその行動はやめていきます。ただし、その前に一度その行動の頻度が多くなることがあります。
ボタンを一度押しても反応がなければ、二度三度押してみる。それでもダメなら諦める。犬の要求吠えもそれに近く、最初はむしろ増えたように見えることがあります。それでも意味がないと感じ理解していけば、少しずつやめていきます。
ひどくなりやすい家庭には共通点があります
要求吠えがひどくなりやすいのは、行動を管理していないご家庭です。家の中をずっとフリーにしていて、行動を犬本人に任せているご家庭がとても多く見受けられます。
また、そもそも犬からの発信に対応するお世話そのものに幸せを感じているご家庭は、改善が難しくなりやすいです。ただ、そうしたご家庭は依頼に来られること自体が少ない印象です。
「かわいそう」が対応をぶらしやすくします
「お腹が減ったのかな」「お散歩に行きたいのかな」と、犬主体で気持ちを汲みすぎると対応がぶれやすくなります。その優しさが、そのまま要求吠えを通す形になってしまうことがあります。
代わりに教えたいのは、別の具体的な行動です
大前提として、吠えても何も次のことは起きない、ということを理解させる必要があります。ただし、「吠える」の反対は「吠えない」で、これは犬にとって何もしていない状態です。これを理解させることはとても難しいことです。
だからこそ、別の具体的な行動を教える必要があります。たとえば、ハウスに入るという行動でごはんが出る、玄関前のマットで待機すると散歩に行ける、というように、吠える代わりに何をすればよいかをはっきり教えていきます。
改善の期間は簡単には言えません
改善にどれくらい時間がかかるかは簡単には言えません。吠えてきた経験値のぶんだけ、別の経験値を積み直す必要があるからです。考え方としては、今まで吠えてきた時間くらい、これからも時間が必要になることがあります。
ただ実際には、そこまで長くかからずにコントロールできることも多くあります。大切なのは、期間の短さよりも、仕組みを変えて習慣を積み直すことです。
最後に伝えたいこと
家庭の中では、原因や行動を自分たちだけで変えることが難しいことがあります。だからこそ、トレーナーに依頼して、環境を客観的に見直してもらえると良いと思います。
物理的な改善をして、新しい行動を習慣化する。その過程を作っていきましょう。
要求吠えを見直す時に大切なこと
- 犬が先読みしやすい生活パターンを見直す
- 吠えた後に報酬が出る流れを止める
- 最初は一度頻度が増えることを知っておく
- 「吠えない」ではなく、別の具体的な行動を教える
- 客観的に環境を見直し、習慣を作り直す
監修・運営
SKYWAN! DOG SCHOOL 代表 井原亮。要求吠えはただ止めるのではなく、起きる仕組みを見直し、犬が別の行動を選びやすいように整えていくことを大切にしています。