このコラムを短く見ると
私のドッグトレーナーの原点は、祖母の一言でした
1979年生まれの私が高校3年に入ったすぐの頃、それまでサッカーしかしてこなかった私は、いきなり進路を迫られることになりました。実際は、目を背けていただけですが、その時になって急に「この先どうするのか」を考えなければならなくなったのです。
ある日、希望進路に合わせた説明会が開催されることになり、それに合わせて進路をある程度決めなければなりませんでした。どうしようかと右往左往していた時、たまたま祖母に会いに行くことになりました。
祖母は年齢を重ね、認知症の症状が出ていた時期でした。そんな祖母に父が「孫が困ってるらしいぞ」と伝えたところ、急に昔のばあちゃんに戻って、「あんたは犬が好きなんだから犬の仕事したらいいじゃない。」とぽつり。そしてまた自分の世界に戻っていきました。
私の原点はこの一言です。これがなければどうなっていたかは全くわかりません。
当時は、今のような進路の形すらありませんでした
今から27年前、この記事を書いている2026年初夏から見れば、ちょうどその頃の話です。先生に「どこの分野の説明会に行けばいいのかわからないのですが……」と尋ねても、当時はこの進路に則した進路先などほとんどありませんでした。
そこで自分で探し始め、先生も探してくれて、ようやく3つの専門学校が見つかりました。その中から「ちば愛犬動物学園仏学園(現・ちば愛犬動物フラワー学園)」に進学することになりました。
最初に学んだのは、厳しい訓練でした
その学校は当時発足2年目の、できたてほやほやの学校でした。1年次は厳しい訓練を学びました。犬に対して、厳しく、怖く、威厳を持って接することが当然の空気としてありました。
そこで、しつけの見え方が一気に変わる授業に出会いました
2年次に上がると、大きな出来事が起きます。故・伊藤佐枝子先生の授業が始まったことです。それまで厳しい犬の訓練しか学んだことがなかった私は、度肝を抜かれました。
授業開始の1分前になると、佐枝子先生はスピーカーを使って決まった音楽を流し始めます。授業開始時間に音楽を止め、すぐに出席を取り始める。最初はダラダラしていた生徒たちが、音楽が聞こえ始めると1分以内に教室に行き、席に座るのです。
これは佐枝子先生の犬のしつけを応用した戦略でした。いつも同じ時間に音楽を流し、出席を取り、授業を始める。そして授業がまた楽しい。いつも授業中に「いい子だね!」「よくできたね!」という言葉でいっぱいになる。この状況を私たち生徒も楽しい時間として認識し、音楽が流れるとその楽しい時間を想像し、喜んで佐枝子先生の元へ集まるのです。
いわゆるこれが「おいで」の練習です。完全に術にはまっている。笑
約30年前に、訓練と家庭犬のしつけは変わり始めました
約30年前に、訓練と家庭犬のしつけは変わり始めました。厳しく怖く威厳を持って犬に接するのではなく、楽しく、犬が自ら褒めてもらうために動いてくれるようになるという考え方が広まり始めたのです。
そしてその少し後に、犬の保育園や幼稚園が出てきました
ちょうどその5年から10年ほど経ったくらいから、犬の幼稚園や保育園などの施設が作られ始めました。ただ、名前は保育園や幼稚園でも、中身は厳しい預かり訓練というケースも多々あったことは確かです。
今の保育園は、中身を変えてきています
そして現在、犬の保育園や幼稚園は名前を変えず、中身を変えて、トレーナーたちが飼い主さまの代わりにトレーニングをしてくれるようになってきました。
共働きで時間が取れないご家庭や、自分ではできないきめ細かい練習を人に任せる時代になった、ということです。
一方で、名前だけで参入するところもあります
ただ、やはり「これはお金になる」と考え、犬のことを深く学ばない経営者が参入してきたのも事実です。もちろん、しっかり勉強して経験値の高い経営者もいますので、一括りにはできません。
しかし、そういった保育園や幼稚園は、当然ただ預かるだけになりやすく、飼い主さまからのしつけについての質問にも、ありきたりな言葉で回答を濁すようになってしまいます。そんなことが実際に起きています。
本来の保育園は、良い体験を積ませる場所です
犬の保育園や幼稚園は、しつけや、家ではできない体験を良い体験にできるように、たくさんの環境に慣らすことを、飼い主さまの代わりに行う施設であるということを忘れないようにしていきたいものです。
保育園選びで大切にしたいこと
- まずトレーナーさんと話してみること
- 理論を勉強し、それを経験してきた人がトレーナーであること
- 教科書だけの知識では、説明がどうしても浅くなりやすいこと
- 質問があれば、深く深く質問してみること
- 名前ではなく、中身と考え方を見ること
監修・運営
SKYWAN! DOG SCHOOL 代表 井原亮。犬の保育園は、ただ預かる場所ではなく、家庭犬として必要な体験や練習を、飼い主さまの代わりに丁寧に積ませていく場所であるべきだと考えています。