噛みつきへの対応と練習

噛むようになった犬への対処と練習方法|何を守ろうとしているのかを考える

噛みつきへの対応を、自分自身・持ち物・居場所を守る場面に分けた全体ガイド
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足を拭こうとすると噛む。持っているものを取ろうとすると噛む。ソファから動かそうとすると噛む。

愛犬が人にけがをさせるほど噛むようになると、「攻撃的になってしまった」と感じるかもしれません。

しかし、私がこうした相談でまずお伝えしたいのは、犬はできるだけ争いを避け、噛まずに過ごそうとしているということです。飼い主さんには「攻撃的」に見える行動も、私から見ると、怖いことから自分を守ろうとする「防衛的」な行動であることが多くあります。

今回は、甘噛みではなく、人がけがをするほどの噛みつきについて、場面を分けて考えていきます。

犬は何を守ろうとしているのでしょうか

暮らしの中で起きる噛みつきは、まず次の三つに分けると、対応を考えやすくなります。

  • 自分自身を守るとき
  • 自分の持っているものを守るとき
  • 自分の居場所を守るとき

同じ「噛む」という行動でも、起きている場面が違えば、変えるべき環境や練習方法も変わります。

自分自身を守るとき

体を触られるのが怖い犬への、無理をしないお手入れ練習
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足を拭く、ブラッシングをする、体を拭くといったお手入れ。抱っこをする、触る、撫でるといった関わりでも、犬が噛むことがあります。

人にとっては必要なお世話や愛情表現でも、犬にとっては嫌なこと、怖いことになっている場合があります。過去に嫌がっているところを無理に続けた経験が、次の場面への警戒につながっていることもあります。

まず、「必要なことだから我慢してくれるはず」と考えないことです。

嫌がることを無理に続けず、噛む状況をつくらないようにします。人を噛む経験を重ねさせないことが、とても大切です。

一瞬できたら、それで十分です

必要なお手入れに慣らす練習では、犬が大好きな食べ物を用意し、本人にとって比較的簡単なことから始めます。

例えば、抱っこが難しいなら、いきなり持ち上げるのではなく、まず触ることからです。大好きなおやつを食べている間に、一瞬だけ触れて終えます。

一瞬できたら、それで十分です。「できたから、もう少し」と長く続けようとせず、小さな成功を重ねていきます。

ただし、おやつを食べているから必ず安全というわけではありません。食べるのをやめたり、手を気にしたりする場合は、噛まれる危険があります。食べ物で気を引いて、嫌がることを無理に進める練習にならないようにしてください。

人がけがをするほど噛む犬では、触る位置や方法も含め、専門家と一緒に練習を組み立てることが大切です。

自分の持っているものを守るとき

持ち物を守る犬の環境管理と、安全に交換するための考え方
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おもちゃや拾ったものなどを、取られまいとして噛む場面です。

まず、守って噛む原因になるものは、安易に与えないようにします。飼い主さん側も、「犬の所有物だから自由に持たせ続ける」と考えるのではなく、飼い主のもので遊ぶ時間をつくり、終わったら片づけるという管理を意識しましょう。

ただし、その考え方は、無理に取り上げてよいという意味ではありません。

ティッシュなどを取られてしまう場合も、犬の届くところに置かないことが基本です。取られたあとの対応だけでなく、取らせない環境を整えることから始めます。

返してもらうときは、まず交換を考えます

おやつで交換できそうなら、おやつを見せたり、匂いに気づいてもらったりします。

持っているものよりもおやつを選び、犬が自分から物を放して離れたら、安全に回収できる状況で片づけ、届かない場所に置きます。

おやつを見せても放さない場合は、絶対に無理に取り上げないでください。

方法の一つとして、少し離れた場所にドッグフードを広くまき、犬が物から離れて、探しながら食べる状況をつくることもあります。その間に回収できる場合がありますが、必ず成功する方法ではありません。犬が物のそばにいる間に手を伸ばさないことが大切です。

普段の交換練習には、おもちゃを使います。交換できたら、その回のおもちゃ遊びは終わりにして片づけます。すでに強く守るおもちゃで、無理に練習を始めることは避けましょう。

自分の居場所を守るとき

居場所を守る犬を無理に動かさず、自分から移動する習慣を育てる
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ソファやベッドなど、犬がいる場所に近づいたり、そこから動かそうとしたりすると噛む場合があります。

ここでも、基本は環境管理です。守って噛むことが起きる場所には、入れないようにしておきます。

すでにその場所を守っているときは、手を伸ばして引っ張ったり、抱き上げたりせず、自分から離れるまで待ちます。周囲の人も近づかないようにします。

そのうえで、日常の中で、飼い主さんが望む場所に来ると褒めてもらえる習慣をつくっていきます。

一か所にとどまり続けるのではなく、自分から移動するとよいことがある。そうした経験を、落ち着いているときから重ねていきましょう。

叱りつけたり、追い込んだりしないこと

三つの場面に共通して大切なのは、叱りつけたり、犬を追い込んだりしないことです。

怖くて自分を守ろうとしている犬に、さらに怖い状況をつくると、噛む行動を強めてしまうことがあります。力で押さえる、逃げ場をなくすといった対応も避けてください。

噛んだことを責める前に、噛む状況をつくらないために何を変えられるかを考えていきます。

専門家と一緒に、暮らし全体を見直しましょう

噛むようになった背景には、日々の対応方法や生活のリズム、環境などが関係していることがあります。噛む瞬間だけを変えようとしても、改善が難しい場合があります。

また、急に噛むようになった場合や、特定の場所を触ると嫌がる場合には、痛みや体調の問題も考える必要があります。獣医師への相談も含めて進めましょう。

人がけがをするほどの噛みつきは、飼い主さんだけで試行錯誤を続けるよりも、できるだけ専門家と一緒に改善を目指すことをおすすめします。

犬が何を怖がり、何を守ろうとしているのか。その犬とご家庭に合う対応を考えながら、安心して暮らせる関係をつくっていきましょう。

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