この出来事を短く見ると
玄関までしか入れない大型犬、という相談でした
しつけ相談会をしていた日、年配の方が大型犬の相談に来てくださいました。
聞くと、今現在トレーナーさんが来ているけれど、そのトレーナーさんは玄関までしか入れない。玄関より中に入ると襲っていくような感じだという話でした。大型犬と言っても、その中でも大きい部類に入る犬種です。これはなかなか大変だなと思いながらお話をしていたら、「先生に来てもらいたい」と言っていただき、その週の週末に伺うことになりました。
料金もその場で支払う準備をしていたようで、ご家族の覚悟を感じたのを覚えています。
行ってみると、ご家族にはデレデレでした
レッスン当日、私は心の準備と、たくさんの美味しいおやつを持ってご自宅に向かいました。
なんと、その年配の方はご家族のお母様。息子さんご夫婦が飼っている大型犬でした。ご家族には全く問題なく、むしろデレデレ状態です。しかし、私が入った瞬間に吠える、唸る。内心「これは危ない。笑」と思いました。でもなぜか別に怖くはないのが不思議でした。
最初の一手は、おやつ大作戦です
最初の一手は、おやつ大作戦でした。とにかく「美味しいものを持っている人が来た」と思わせる作戦です。これは、だいたいハマるだろうという経験値からの憶測でもありました。
ありがたいことに、飼い主ご夫婦もとても理解があり、「なんでもやってください」と言ってくださいました。そこで、この作戦でいくことにしました。
すると、その日のレッスン時間内に、リビングまで入れて、手からおやつを食べるところまで進みました。
そこで終えるのが、一番大事なポイントでした
その日はそれでおしまいです。いい感じにして帰る。それが、この作戦の一番のポイントでした。
帰った後に、「なんかいっぱいおやつくれるやつが来たな」と思ってくれれば私の勝ちです。勝ち負けではないのですが、そう思ってもらえれば次につながります。
その子もきっと私のことがとても怖いのです。でも、本当に怖くてしょうがなければ逃げればいいのに、吠えて唸ってこちらに近づいてくるということは、ほんの少しは私に興味があるということです。だから、その興味を何倍にもするために、「美味しいものくれる人」で帰ったのです。
次の週には、もう親友みたいでした
次の週、レッスンの日です。ピンポーン……ヴゥーーーワンワンワン! 吠えてるねぇ、と思いながら玄関から入ると、ダッシュで玄関まで来ました。私はすぐにおやつを出します。
すると尻尾ブリブリ。なんと親友となりました。笑 いきなり仲良しという展開です。相当待っていてくれたみたいで、飼い主さまからは「玄関で待ってる日もあった」と聞きました。その日から急に、なんでも気を許してくれるような感じになりました。作戦は大成功です。
その後は、普通の練習を積み重ねました
そのあとは普通に練習です。お友達やお母様を呼んでもらって、「誰かが来ても、飼い主からおやつをもらえる」「誰かが来ると、飼い主とのおやつタイムが始まる」ということを、たくさん経験させてもらいました。
数ヶ月にわたりレッスンに行き、その後は保育園でもお預かりしました。当然、最初は私しかダメなので私が対応しましたが、何回か来ているうちに、徐々に一人、また一人と慣れていってくれました。すごい成長です。最初は地響きのような唸り声をあげていましたからね。
実は、散歩中に3名を病院送りにしていました
レッスン中に聞いて肝を冷やした話があります。なんと散歩中に3名を病院送りにしていたのです。酔っ払い、いきなり抱きつこうとした人、大きな身振りと大きな声で話している人を噛んでしまっていた、とのことでした。
前に来てくれていたトレーナーさんは一度も触れず。私は最終的に、本人から飛びついてきてくれるようになりました。
この出来事から伝えたいこと
- どんな状況でも諦めないこと
- 威圧的に教えることは厳禁です。噛まれます
- その子が少しでも興味を持てるきっかけを作ること
- 一度でやり切ろうとせず、いい印象で終えて次につなげること
- 何かきっかけを掴めれば、急に楽になることがあること
何かきっかけを掴めれば、楽になることがあります。もし同じようなことで悩んでいるなら、お近くのトレーナーさんに相談してみると良いと思います。
監修・運営
SKYWAN! DOG SCHOOL 代表 井原亮。反応が強い大型犬でも、怖さだけでなく興味の余白があるかを見ながら、その子が受け取りやすいきっかけを作っていくことを大切にしています。