このコラムについて
日々犬と向き合う飼い主さまにとっても、学びを深めていく方にとっても、 犬の行動を見るだけでは足りない場面が多くあります。飼い主さまが何を思い込み、どこでつまずき、 どう伝えれば実践につながるかまで見ていく必要があります。
たとえば、しつけは叱ることだと思っていたり、犬にはリーダーが必要だと信じていたり、 犬種や性格のせいだから仕方がないとあきらめていたり。こうした思い込みをどう整理し、 飼い主さまに受け取りやすく伝えるかは、学びを深める方にとっても大切な力のひとつです。
もう一つ大切なのが、「してほしくないことは体験させない」という視点です。拾い食い、ごみ箱あさり、吠えて追い払う行動、 吠えることで要求が通る経験などは、一度成立すると学習として積み上がっていきます。だからこそ、起きたあとにどう叱るかよりも、 まずは起きにくい環境をどう設計するかを考える力が必要になります。
これは犬を責めないためでもあり、飼い主さまを責めるためでもありません。犬が何を学びやすい状況にいるのか、 飼い主さまが何を実践しやすいのかを整理し、できる形に整えていくための考え方です。SKYWANでは、行動を止めることだけでなく、 同じ体験をくり返さない工夫や、伝え方の精度も大切にしています。
このコラムでは、しつけの基本や原則、学習理論、環境設定、飼い主支援の考え方を、 現場で使いやすい形で整理していきます。犬を一方的にコントロールするためではなく、 飼い主さまが実践できる方法としてどう伝えるか、という視点も大切にしていきます。
その中でも大切にしたいのが、「犬は体験を通して学ぶ」という視点です。犬は人のように数や時間を理解するわけではなく、 その場で起きたことをもとに行動を増やしたり減らしたりしていきます。要求吠え、飛びつき、トイレの失敗、 お手入れを嫌がる行動なども、この学習理論で見ると整理しやすくなります。
叱ることで変えようとする前に、「その行動のあとに犬にとって何が起きているのか」を見ることが大切です。 さらに、してほしくないことはそもそも体験させないように環境を整える、という視点も欠かせません。4つの学習パターンや、しつけの3つの原則とあわせて、 指導する立場ならどう説明し、学ぶ立場ならどう実践に落とし込むかまで整理していきます。
このコラムで扱うこと
- しつけをどう定義し、どう伝えるかという基本の考え方
- 人と犬が快適に暮らすためのルールづくりをどう説明するか
- 「犬にはリーダーが必要」「母犬のように叱る」などの思い込みの見直し
- 犬種や生まれつきだけで決めつけない見立ての視点
- 犬の学習パターンは4つ、という学習理論の基本
- してほしくないことを体験させない環境設定の考え方
- しつけの3つの原則と、飼い主さまと共有したい姿勢
- 信頼される伝え手としての立ち位置と、飼い主さまとの関わり方
- 飼い主さまのモチベーションを保てるように、どう伝え、どう支えるか
- 飼い主さまや学びを深めたい方が情報をどう見極め、どう更新するか